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志の発見〜(アートやクリエイティブ)ディレクターという仕事。

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佐藤可士和さん。今や業界のみならず、一般の学生でもその名を知っている存在になりましたね。名前は知らなくても、ユニクロやGU、セブンイレブンのパッケージ等、誰もが知っているブランドや商品のデザインを手がけています。

ただ、ユニクロやGUのロゴデザイン、カッコいいかどうか微妙だと思いませんか?カッコいいという振り切り方ではないのは確か?です(個人的感覚です)。と同時に、佐藤可士和さんの「作品」を何と捉えるか、難しいところだと思いませんか?ユニクロやGU他のロゴや広告、パッケージデザインをするデザイナーだと言えば、それももちろん、そうなんですけれど、すべてではありません。いえ、むしろ、カタチになって表に出ていないところ、というか、カタチになる前の、理念や志と言う部分に、根本的な「作品」があるような気がします。

有り体に言えば、それはコンサルティングとも言えますし、昔ながらの広告制作の言い方ならば、ディレクションなのかもしれません(かなり違うか..)。いずれにしても、企業の根本の活動の方向性を具体化する、もしくは、方向付けをする、または再発見する、ということですかね。

経営者の能力、企業のレベルに関わらず、必ず、一度や二度は不振が襲ってくるそうです。その際、苦境から回復するのは、さまざまな方法があるのでしょうが、不振にあえぐ日本マクドナルドを立て直した原田前社長は、「業績不振になった会社をある角度で見ると、必ずといっていいほど、その会社らしさを失っている。業績を回復した会社を見ると、必ずといっていいほど『らしさ』を取り戻していると思う」とご自身の本に書かれています。

「らしさ」…。何と、難儀で誘惑的な言葉、定義なんでしょうね。「らしさ」を既存の「らしさ」として定義するか(その領域を『自社の強み』とするか)、新しい領域を「らしさ」とするかでも変わってきます。

古くはソフトバンクの『=』マークを提案した大貫卓也さん。彼が、佐藤さんの流れを生み出した、最初のクリエーターではないでしょうか。それ以前にも優れたクリエーターは、きっと、大貫さん、可士和サンと同様の役割を果たされていたでしょうが、経営環境が劇的に変わった、グローバリズムにさらされた現状で言えば、大貫さんが最初の気がします。何せ、あの孫さんを唸らせたそうですから。

メディアが多様化し、広告という狭義な領域だけでなく、企業活動全般が生活者に右往左往している現在。この「志の作品」の創り方、決め方、伝え方の「絵を描く」ことが、普遍的に求められる能力ではないのでしょうか。