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2021/2022年度短期経済見通し~景気は回復軌道に復帰後、緩やかな回復傾向を維持する~MUFGリサーチ&コンサルティング

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2月15日に発表された2020年10~12月期の実質GDP成長率は前期比+3.0%(年率換算+12.7%)と2四半期連続でプラス成長。が、これらの「経済活動」が感染拡大の第3波や緊急事態宣言の再発出につながったとも考えられている。1~3月期の実質GDP成長率は前期比-0.8%(年率換算-3.2%)とマイナスに転じることは必至で、目先の景気拡大を優先したことで感染拡大防止と経済活動のバランスが崩れ、景気を悪化させてしまったと言われても仕方ない。

もっとも、前回の緊急事態宣言時と比べて今回の自粛は、景気の落ち込みは緩やかにとどまる見込みであり、さらに足元で感染拡大の勢いは鈍っている。このまま感染を抑制できれば、春先のイベント需要を取り込むことが可能となり、景気が二番底に陥る事態は回避できそうである。ワクチンの接種が始まることで、世の中のムードが好転することも景気にとってプラス材料である。しかし、中途半端なタイミングで緊急事態宣言を解除したり、早期にGo Toキャンペーンの再開に踏み切れば、再び感染者が増加し、景気低迷が続くリスクがある。昨年の失敗の教訓を活かし、感染拡大防止と経済活動再開のバランスを取り戻せるかが、今後の景気の最大のポイントといえる。今、時点で、感染抑止が下げ止まっているという専門家委員会の見解も不気味だ。

2021年度は、感染拡大による経済活動への制約が徐々に薄らいでくるうえ、5Gの本格的普及が進むこと、世界経済の回復が続くことなどを背景に、景気の持ち直しは維持される。このため、年度での実質GDP成長率は前年比+3.8%とプラス成長に復帰すると予測する。感染拡大防止に配慮して経済活動再開のペースは緩やかとなるが、プラス基調が維持されることで、年度末には新型コロナウイルスの感染拡大前の水準(2019年10~12月期)を回復すると見込まれる。なお、東京オリンピック・パラリンピックは、大会規模や観客数は縮小を余儀なくされるため、イベント効果はそれほど大きくない。開催は延期したほうが良いと思っている。飲食や施設、あらゆる関連被害はでるだろうが、少し悲観で考えれば、中止し、延期の方が良い。

2022年度も景気の回復が続き、年度での実質GDP成長率は前年比+1.2%と潜在成長率を上回る伸びが維持される。新型コロナウイルスの感染拡大の下で、自宅でのテレワークの推進や業務のリモート化をはじめとする各種の試みが急速に浸透した結果、通信環境などのインフラの整備、AIなど新技術の普及、働き方改革の推進とも相まって、労働力人口の増加、余暇の創出、副業・兼業の広がりなどにつながり、労働生産性を向上させ、潜在成長力の底上げを促すと期待される。

まさに、チャンスに変えて行けない集団は、今度こそ、消失への道をたどる。