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Maxim(kingen)

ユーザーの声を疑え!イケてるスタートアップがプロダクト開発で重視する3つの法則

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個人的に勝手にファンになっているクラウド会計ソフト「freee」。その代表・佐々木大輔氏が、札幌で開催中の「Infinity Ventures Summit 2014 Spring(IVS)」で23日に行われた、「プロダクト・イノベーション」をテーマにしたセッションで、含蓄ある発言をしています。
イケてるプロダクトを作るために「ユーザーの声」を金科玉条のごとく扱うことは、時として問題の本質を見失ってしまうかもしれない――。

freeeは、簿記の知識がなくても会計処理を可能にすることで注目されているクラウドサービス。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、記帳を自動化することで、面倒な手入力の手間を省いてくれます。最近でh給与計算機能を加え、7万事業者が導入するまでに成長。

そんなFreeeですが、創業前、ユーザーに要望をヒアリングした結果をそのまま反映していたら、今のプロダクトは生まれなかったかもしれないというのです。

「ユーザーのフィードバックの多くは『会計ソフトの入力を早くしたい』という声だった。しかし問題の本質は『入力しなければならないこと』。入力をなくすことが問題解決につながるはずだと、何度もメンバーと議論した」そうです。
この話しは改革の本質的な要諦と課題とを明示してくれています。つまり改革する目的は「そもそも入力をなくす」ということに革新性と差異化と市場性がある。他方、入力を早くしたいということは、実際に入力する従業員の方々の「現状を前提とした改善案」であり、そもそも「入力しなくて済む状況は、イコール自分たちが不要になる」ということにもなりかねない、行き過ぎた改善なのです。実際にFreeeを導入した企業から経理業務の担当者が減員になったかどうかわかりませんが、当事者というのは、そういう視点なのだと思います。発想の飛躍も難しいですしね。

こういう体験で佐々木氏は、優れたプロダクトを生み出すには、次の3つの法則を大事にするようになったのだといいます。

1)本質的な価値があるか
〜ユーザーの求めるものが本質的な価値を生み出すかどうかを精査しなければならないということ

2)まず手を動かす
〜アウトプット前の議論は「うまくいかない理由」ばかり出てきやすい。いっそのことローンチしてから出てきた課題を解決すべきだということです。「ローンチは仮説検証プロセスの一部。そうすれば『これを削らないとね』ということが見えたり、場合によってはピボット(方向転換)もできる」。

3)柱(ゴール)を建てて、やらないことを決める
〜会計ソフトのようにユーザーから求められる機能が多い場合は、優先順位付けが欠かせないという。例えば、確定申告の需要に応えるために、1月までに機能強化を図ることを「柱」とする。逆に言えば、確定申告に結びつかない機能は、どれほどユーザーから要求されても実装を遅らせるというわけだ。

ユーザーの声を疑えという話しは、名経営者の語録でしばしば出てきますね。